このたび、第1回「いきなり本読み!台本アワード」の受賞作が決定しました。
最優秀賞
該当作 なし
優秀賞
上山学さん
『マザー・オン・ザ・トップ』
中村理彩子さん
『楢山さんの見えない恋人』
今回は最優秀賞の該当作はございませんでした。
よって、最優秀賞賞金50万円は次回へ繰越され、第2回の賞金は100万円となります。
なお今回の審査について、「すぐに『いきなり本読み!』の現場に出せるかどうか」という観点で審査した結果、あと一歩というところで最優秀賞には届かない、という判断となったためです。しかしながら、今後の成長や発展を強く感じさせる作品として、優秀賞を2作選出いたしました。
10月7日の「いきなり本読み!」公演では、『マザー・オン・ザ・トップ』を題材に朗読を行う予定です。
作品は発表に向けて作者の上山さんと共にブラッシュアップしてまいります。
『楢山さんの見えない恋人』については、優れた作品である一方で、「いきなり本読み!」公演で取り上げる台本としては性質が異なると判断し、当日の上演作品には選びませんでした。しかし、作家としての将来性を強く感じたことから、優秀賞をお贈りすることにいたしました。
このような結果となりましたが、初回から魅力的な作品が集まり、今後への大きな期待を抱かせるアワードとなりました。
引き続き、「いきなり本読み!」の新たな挑戦にご注目ください。
■■岩井秀人 コメント■■
今回が第1回となる台本アワードにもかかわらず、なんと80作品を超えるご応募をいただきました。
そこから6作品に絞り込み、実際に俳優たちと一緒に声に出して読みながら審査を進めました。
ただ読むだけでなく、「いきなり本読み!」特有の、初見で演技として立ち上がった際の熱量を確かめながら、みんなで意見を出し合い、悩みに悩んでの選考となりました。
今回は初回ということもあり、最優秀賞を出せる作品を探し続けましたが、本当にあと一歩というところで見送ることになりました。
結果的には、最優秀作品賞はなく、優秀賞が2つとなります。
が、これは逆に言えば、作品のレベルが高く、我々が本気で悩んだ結果とも言えます。
「いきなり本読み!」の台本は、「初見で面白い」と思えるということがとても大事です。
なぜなら、台本の物語の上で俳優がアプローチを変えたり、演出家とのやり取りで表現の方向が変わったりするからです。
ベースとなる物語や役人物の心情が伝わりにくかったりすると、その上での演技がフィットしているのかズレているのかも、お客さんに共有されなくなっちゃう。選考にあたり、そこは重要視しました。
優秀賞は2つ。ひとつは「マザー・オン・ザ・トップ」、山登りする親子の話です。
ストーリーの展開もしっかりしてるし、それぞれのキャラクターの動機も明確で、息吹を感じるし、各シーンも目的が明確。この人は書いて行った方がいい人だな、と素直に思いました。
ではなぜ、最優秀賞ではないのか、それは、物語をもう一歩外側から見る力です。
「いきなり本読み!」は、台本の「上」で遊びます。
俳優が演じる、ということを観客に見せる。
そのためには、もう一歩外側から、「親子が山を登ることを通してそれぞれやお互いを見つめ直す」ということと、それを演じる、ということに対する視点も持ってみてほしい。
プラス、ユーモアも。これ超大事!遊び心があると、すでに展開の素晴らしい台本に、さらに緩急もつくはず。次回も期待しております。
そしてふたつめの「楢山明子の見えない恋人」も、とても優れた作品でした。
1時間未満の作品のはずですが、しっかり一人の人生の決定的な分岐の瞬間をクローズアップできていたと思います。
冷静なんだか熱いんだか、独特な空気感のセリフのやり取りで、目の見えない主人公の感覚を共有することに成功していて、これはなかなかに離れ技だと思いました。
「目の見えない主人公が、初めて家を出てコメディアンを目指す話」という、めっちゃいいあらすじ!あとはこの「コメディ」の部分に、作家さんの執念を感じたかった。コメディ部分に、作家さん自身の執念や「死んでも笑わせてやる!」という思いがもっと濃く乗ってきたら、きっと大化けする予感がしています。
ただ、前提としてテーマが「いきなり本読み!」向きではないとも思っています。でも優秀賞に選ばせてもらったのは、「いきなり本読み!」は別としても、この作品は世に出て行ってほしいと思ったからです。めちゃくちゃ面白い。どんどん書いて行ってください。
今回はこの2作品が優秀賞となります。
授賞式は10/7に行われます。
予定では授賞式の後に、最優秀賞の「いきなり本読み!」が行われる予定でしたが、最優秀賞がないので、今回は特別に優秀賞の中から「マザー・オン・ザ・トップ」を上演してみようと思います。
これから発表の日まで少ない時間ですが、作者の上山さんとやりとりし「マザー・オン・ザ・トップ」の修正ビフォーアフターもお客様に見てもらいつつ、「いきなり本読み!」を開催しようと思います。
「いきなり本読み!」お馴染みの面々、「長渕風を吹かせる男」板垣雄亮さん、「筋肉デニーロアプローチ」後藤剛範さん、「狂気のいきなり職人」松井玲奈さんらに、新たな「本読み!」の台本をソムリエしていただきます。
きっと、得体の知れない生き物のようにキャラクターや物語がどんどん変化する時間になるはずです。必ずや面白くなりますので、ぜひご来場ください。
岩井秀人(WARE)プロデュース
「いきなり本読み! 台本アワード2days in ザ・スズナリ」
公演概要
【日時・出演者】
◆「いきなり本読み!?with作家さん」
2025年10月6日(月)18:30開場/19:00 開演
司会:岩井秀人
キャスト:板垣雄亮、後藤剛範、小飯塚貴世江
出演:前川知大(イキウメ)
◆いきなり本読み!「台本アワード」授賞式&舞台公演
2025年10月7日(火)17:30開場/18:00 開演
司会・演出:岩井秀人
キャスト:板垣雄亮、後藤剛範、松井玲奈
★台本アワード優秀賞「マザー・オン・ザ・トップ」を上演予定です!
【会場】
下北沢 ザ・スズナリ
東京都世田谷区北沢1丁目45−15
【チケット販売期間】
9月1日(月)12:00~
https://ware-ikinari.corich.co/ikinari20251006/2
【チケット価格】
前売り:5,500円
当日:6,500円
【企画・主催】
株式会社WARE